大阪環状線南部の大駅、JR天王寺駅。
その駅前風景が最近になって一変した。
道の向かい側に超巨大な構造物が出現し、空へ向かって尖端をニョキッと突き出している。
新たなる大阪のランドマーク「あべのハルカス」。
平成26(2014)年3月7日に全面開業したばかりだ。
地上60階建て、高さ300メートルと日本で最も高い超高層ビル。
国内では東京スカイツリーの634メートル、東京タワーの333メートルに次ぐ高さ。
しかし、どちらもビルではないので「あべのハルカス」が日本一のノッポビルということになる。
「ハルカス300、今ならお待ちにならずに登れま~す!」
入口の前を通りかかると展望台のスタッフが道行く人を盛んに勧誘している。
ちょうど平日の夕方とあって客足の少ないアイドルタイムなのだろう。
だとしたら展望台へ登るには、閑散としている今が狙い目かもしれない。
だが、ここで立ち寄ると次の目的地が日没の中へ埋もれてしまう可能性がある。
それにまだ出来たばかりだし、そう簡単に閉鎖することもなかろう、と。
ハルカス300は来るべき次の機会へ回し、階段を地下へ向かって降りる。
近鉄の南のターミナル大阪阿部野橋駅は、あべのハルカスの地下にある。
あべのハルカスが出来る以前、ここには近鉄百貨店阿倍野本店があった。
現在の「あべのハルカス近鉄本店」は売場面積10万平方メートル、単独百貨店として日本一の広さを誇る。
ただ、大阪では各百貨店がリニューアルや増床を競い合い、凄まじい競争を繰り広げていた。
そんな中、果たして近鉄本店が勝ち抜けるのだろうか?
近鉄はもとより大阪の百貨店を利用したことがない自分には、皆目見当もつかない。
それはともかく、大阪阿部野橋駅から近鉄東大阪線に乗車する。
以前この路線に乗ったのは1990(平成2)年8月11日のことだから、約四半世紀ぶりになる。
もちろん目的は藤井寺球場で近鉄バファローズ戦を観戦するため。
準急に揺られること10分余、近鉄藤井寺駅に到着。
郊外にある普通の小さな私鉄駅だ。
藤井寺の駅前は地方の小都市というより、典型的なベッドタウンのような印象を受ける。
その印象は24年前とあまり変わらない。
ただ当時は日が暮れてから到着したので、寂しさは今よりひとしおだった気がする。
[旅行日:2014年6月23日]