日生球場

キャッスル&ボールパーク④大阪編・前 二

近鉄が準本拠地として利用を始めてから四半世紀が過ぎた昭和59(1984)年。

藤井寺球場にナイター設備が完成し、近鉄は日生球場から実質的に撤退する。

プロ野球の興業という最大の収入源を失ったことに加え、戦後すぐに建てられた施設の老朽化と相まって、日生球場は平成9(1997)に閉鎖、解体された。

大阪前R21

その後、跡地は暫く放置されていたのだが、ようやく平成25(2013)年に用途が決定。

フェンスに掲げられた告示板によると、ここにはスーパー、家電量販店、スポーツジムなどができるそうだ。

一塁側スタンドと右翼スタンドの境目だったあたりに来た。

ここから外野スタンドがあった場所を、往時でいえば右翼から左翼へ向けて歩いてみる。

個人商店と民家が立ち並び、周囲に華やかさを演出するような要素は何もない。

道を挟んだ向かい側は何の変哲もない普通の住宅街だ。

ちょうどバックスクリーンとスコアボードのあった裏側あたりまで来た。

十字路を挟んだ反対側には小奇麗な公園が広がっている。

そこから右翼スタンドと三塁側スタンドの境目があったあたりへ。

その来る途中、外壁が黄色に塗られた劇場があった。

その劇場、名を「森ノ宮ピロティホール」という。

大阪前R22

球場が解体された理由のひとつとして、一帯に森ノ宮遺跡が存在していることもあった。

森ノ宮ピロティホールの地下には、森ノ宮遺跡からの出土品を展示した遺跡展示室がある。

ただし、一般に公開されるのは年に数日間だけとのことだ。

右翼スタンドと三塁側スタンドの境目があったあたりに着く。

ここは来るときに通り過ぎた場所で、件の歩道橋のあるあたりまでが三塁側スタンドが存在した場所、ということになる。

阪神高速の高架下を、再び歩道橋まで歩く。

日生球場の跡地には現在、ここに球場が存在したことを示すものは何もない。

ただ、歩道には野球場がデザインされたタイルが敷き詰められている。

このタイルだけが、昔ここに野球場に存在したことを主張しているかのようだ。

大阪前R23

再び歩道橋を登り、阪神高速の下をくぐって反対側へ渡る。
 
[旅行日:2014年6月23日]

キャッスル&ボールパーク④大阪編・前 一

JR大阪駅から大阪環状線に乗る。

大阪環状線は低い家並みや中低層の小さなビルが立ち並ぶ市街地の狭間を走る。

同じ“環状線”である東京の山手線と比較しても、車窓の風景はローカル色が濃い。

大阪前R11

そんな電車に揺られること約12分、森ノ宮駅に到着した。

駅を出ると、まだ6月だというのに真夏のような暑さが身体に纏わりついてくる。

目の前を通る阪神高速道の高架下を西に向かって歩くこと数分。

白いフェンスが延々と続く一角が眼前に現れた。

この大阪城を間近に望む絶好の場所に、平成9(1997)年まで野球場があった。

日本生命野球場、略して“日生球場”。

大阪におけるアマチュア野球の“聖地”にして、近鉄バファローズが長きに亘り本拠地を置いていたスタジアムである。

その名の通り、日生球場は日本生命が自社の野球部用に戦後間もなく建造した球場。

このため戦後しばらくはアマチュア野球専用として使われていた。

しかし地理的に絶好の場所にあるこの球場を、プロが見逃すはずもなく。

郊外の藤井寺市に本拠地を置いていた近鉄球団が日本生命に対し、ナイター設備の設置を条件に球場の使用を提案。

これを日本生命も了承し、近鉄は本拠地を藤井寺球場に置いたまま昭和34(1959)年から日生球場を実質的な本拠地球場として試合を主催していく。

大阪前R12

格好の位置に歩道橋が立っていたので、そこに登ってフェンス内部の様子を見てみる。

敷地は新たな主となる施設の建設に向けて地割りされ、球場だった頃の面影はすっかり失われていた。

フェンスの中では大勢の作業員が忙しそうに動き回っている。

巨大なクレーンが立ち並び、重機が唸りを上げ、地面に掘られた穴にはコンクリートがドクドクと注ぎ込まれている。

ここにプロ野球チームが興業を打っていたスタジアムの存在した記憶など、既に歴史の彼方へ埋没しているかのようだ。

歩道橋を降り、フェンス沿いに球場跡を一周してみる。

歩道橋のある場所は昔、ちょうどメインスタンドがあった場所の前に位置している。

そこから一塁側スタンドから右翼スタンドの方面へ向かって歩いてみる。

大阪前R13

周囲は小規模な雑居ビルや個人商店、マンションなどが立て込んでいる。

あまり都心にいることを感じさせない、下町っぽい雑然とした雰囲気の中に球場はあったわけだ。

[旅行日:2014年6月23日]
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