遺跡群から東側に下っていく細い坂の先には「風呂屋の谷」という湧水池がある。
風呂屋といっても銭湯ではなく、昔は伊雑宮に参拝する前ここで身を清めた“禊所”だ。
風呂屋の谷から坂を登って再び伊雑宮の門前へと向かって歩くと、途中に世古長官家の屋敷跡がある。
世古家は先出の中家と並び、伊雑宮の長官を代々務めてきた氏族。
屋敷跡そのものは別の個人所有地となっているが、石垣の一部は往時のまま残されているそうだ
上之郷駅へ戻ると近鉄特急ビスタカーの回送車が停車していた。
ここで対向車との行き違いを待っているのだろうが、長大編成ゆえに車両がホームに収まり切れず端がハミ出ている。
春先の穏やかな陽気の中、ホームのベンチに座ってビスタカーを眺めているうち、発車時間が来たのかユルユルと動き出し、賢島方面に向かって走り去った。
その様子をボーッと眺めていると、ビスタカーが消えた方角から今度は鳥羽方面行きの各駅停車の姿が。
電車に乗ると車内はお伊勢参りの女性やカップルが目立つぐらいで、閑散としていた。
これからどこへ向かうかというと、伊勢神宮内宮へ参詣に行こうと思う。
平成24年の天皇誕生日に伊勢神宮外宮へ参拝して以来、1年数ヶ月の間が空いての内宮参拝。
式年遷宮も無事に終わり、新たな節目を迎えた伊勢神宮。
だが、マスコミが撒き散らす「伊勢ブーム」ごときに踊らされず、地に足を付けて参拝したいところだ。