⑥特別編

キャッスル&ボールパーク⑥特別編 一

神阪編R011

早朝6時半、東京スカイツリー。

この下にある京成押上駅から成田空港線アクセス特急で成田空港へ向かう。

通勤時間帯の前、しかも都心から郊外への電車とあって車内は閑散としている。

福岡から広島、関西の御城と球場を巡ってから早10日が過ぎた。

しかし、どうしても晴らしたい心残りがひとつだけある。

それを成就すべく再び大阪へ向かうことにした。

ただし時間的な猶予は24時間。明朝までには東京へ戻って来なければならない。

早朝7時半、成田空港駅に到着した。

改札を出て第1ターミナルへ向かうと、昔ながらの身元チェックみたいな愚行を相変わらずやっている。

空港建設に反対する過激派のテロ対策なのだろうが、羽田が本格的に国際化している現在では成田の存在意義は希薄になってしまった。

そのため成田は格安航空会社(LCC)の就航に活路を見出そうとしているのに、その一方で多額の予算を組んで身元チェックを続け、その経費を空港使用料として利用者に負担させている。

こんな馬鹿げた矛盾が相変わらず続いているのは、一度構築したシステムを決して手放そうとしない醜悪な官僚主義の為せる業としか思えない。

まぁ、この身元チェックも平成27(2015)年の春で取り止めになるそうだが。

周囲を取り巻く社会的な環境の変化に迅速な対応ができない組織のお粗末さに、日本の空港がアジア諸国から遅れを取った理由が透けて見えるようだ。

出発時刻まで間があるので展望デッキで飛行機でも眺めようかと、南ウイングでチェックインを済ませた後エスカレーターを伝って階上へ向かう。

羽田空港に代わる日本の空の玄関口として華々しく開港した成田も、開港から30年以上が経過した今となってはレトロな雰囲気すら漂うほど古ぼけてしまった。

それはNAA(成田国際空港株式会社)も認識しているのか、ところどころで改装工事が行われている。

4階のフードコードへ行くと早朝にもかかわらず結構な数の利用者で席が埋まっていた。

みな国際線でも機内食の出ないLCCの利用者なのだろうか?

成田が「日本の玄関口」から「格安航空旅行の窓口」へ、体質の改善に迫られた証かも知れない。

5階へ上がり展望デッキに出る。

駐機場に横たわる旅客機は数多いが、時間帯的に早いせいか離着陸する機影は見当たらない。

それでも幸い好天に恵まれたせいか“スポッター”と呼ばれる飛行機マニアの姿もチラホラ散見される。

神阪編R012

[旅行日:2014年7月2日]

キャッスル&ボールパーク⑥特別編 二

神阪編R021

今後、国際路線の羽田移転が続出する事態になれば、成田は眼前のA滑走路だけで発着枠を充足できるようになるのではないか?

だとしたら第2ターミナルやB滑走路を全て取り壊し、東京ビッグサイトや幕張メッセよりも大規模な国際コンベンションセンターを建てたほうが、よほど日本経済にとってメリットがある気がする。

世界はおろかアジア諸国と較べても、日本国内のコンベンションセンターは小規模で数も少ないのだ。

世界に冠たる経済大国を自認する“ものづくり国家”の割に、その成果を内外に顕示する施設が余りにも貧弱なのだ。

その点、成田空港は国際航空路線が直接乗り入れ、都心から鉄道路線や高速道路が通じ、周辺にはホテルも数多い。

これほどコンベンションセンターの立地に最適な場所は他にない。

それに空港反対派が所有する土地も、周囲がコンベンションセンターの敷地になれば存在意義を失うことになる。

さらに横風用のC滑走路も建設を中止して跡地に新ターミナルを建設すれば空港のスポット数も増やせるだろう。

A滑走路の対岸に見える燃料タンクの群れを眺めながら、不完全なままで運用され続ける成田空港の未来を、そんな感じで案じてみた。

午前9時5分、ピーチ・アビエーションMM112便は成田空港を定刻通り出発。

今回ピーチを選んだのは先日搭乗したジェットスター・ジャパンと比較するため。

使用機材は同じエアバスA320を使用しているが、内装は個人的にジェットスターのほうが好み。

ピンクが基調のピーチには、どことなく野暮ったさを感じてしまう。

あえて事前に座席を予約せずどこにアサインされるか試してみたところ、機体後方の通路側を指定された。

前方を見渡すと座席が結構埋まっている。ざっと見て搭乗率は8~9割程度といったところか。

隣の2席には関西の中年夫婦が座っている。やはり関西人の利用者が多いのだろうか。

約1時間半のフライトを経て午前10時35分に関西国際空港へ到着し、LCC専用の第2ターミナルへ。

ボーディングブリッジこそなかったものの、ランプバスを使うこともなく徒歩でターミナルビル内に入れた。

第2ターミナルはLCC用だけに作りは簡素で、まるで巨大な倉庫の中にいる気分。

ここへは現在ピーチしか就航しておらず、広い施設を持て余している感じだ。

第1ターミナルにはエアロプラザ行き無料シャトルバスで移動する。

同じLCCでもジェットスターは日本航空とのコードシェア便ということもあって第1ターミナルから出発していた。

ターミナルの利便性だけに限ればピーチはジェットスターより見劣りするかも知れない。
 
神阪編R022

[旅行日:2014年7月2日]

キャッスル&ボールパーク⑥特別編 三

神阪編R031

今回、第1ターミナルから先は鉄道でもリムジンバスでもなく、神戸空港まで高速船「ベイ・シャトル」を利用してみた。

ターミナルビルの片隅にあるチケット売り場へ行き、自動販売機の前で運賃を確認していると係員が中から出てきた。

「神戸まで行かれるなら高速バスのほうが早くて安いですよ」

なんと商売っ気のない会社なのだろう。

とはいえベイ・シャトルに乗ること自体も目的のひとつ。

「いえ、船で行きます」
「三宮まで行かれますか?」
「ええ」

そうと答えると係員は自動販売機の「ポートライナーセット券」ボタンを勝手に押して手渡してくれた。

1850円のセット券にはベイ・シャトルの片道乗船券代とポートライナーの片道運賃が含まれている。

通常運賃なら乗船券代だけで1850円だけに、ポートライナー代330円が丸々オトクになる計算。

とはいえ約30分の船旅と謳ってはいるが、それは“正味”の乗船時間。

運航間隔は約1時間に1本、しかも乗船場まで無料シャトルバスに乗る必要もある。

さらには、既に連絡バスを待つ長い行列ができているではないか。

車体の大きさは普通の路線バスのそれなのだが、なにせ船1便につきバス1便しかないので大混雑。

荷物が一杯あるお金持ちはタクシーで行ったほうが無難、たぶんワンメーターで済むはずだ。

バスがポートターミナルに到着すると即乗り換え。

正午、ベイ・シャトル「かぜ」号は間を置かずに関空を出港した。

天候も良く、海も荒れることなく、スムーズな航海。

車内にはフェリーによくある桟敷はなく椅子席のみ。

船内に売店はないが、ちょうど昼時でもあり昼食にする。

関空の第1ターミナルをウロウロしていた時、551蓬莱の豚まんとサッポロ黒ラベルを調達していたのだ。

前回なんばパークスを訪れた際、行こうと思つつ結局足を運ばなかった551蓬莱への“仇”を、ようやく神戸への船内で討つ(?)ことができた。

豚まんにかぶりつくと中から肉汁がジュワッと溢れ出し、それをビールで喉の奥へグビッと流し込む。

蓬莱の豚まんは美味しいのだが、いつまでも後味が残るところがいまひとつ。

そこが関東の人間には違和感を覚えるところかも知れない。
 
神阪編R032
 
[旅行日:2014年7月2日]

キャッスル&ボールパーク⑥特別編 四

神阪編R041

12時31分、神戸空港海上アクセスターミナル桟橋に到着。

ここから神戸空港ターミナルビルまで、また無料アクセスバスに乗車する。

ただ、歩いても5分程度の距離なので荷物がなければ歩いたほうが早いかも知れない。

それ以前にベイ・シャトルは関空から神戸三宮へのアクセス手段としては、あまり利便性が高いとは言えまい。

関空と神戸空港をダイレクトで連絡する必要でもなければ、さほど意味のある手段ではなかったように思える。

関空のポートターミナルをホテル日航関西空港の前まで移動して、第1ターミナルから歩いて行けるようにすれば利用者数も増えると思うのだが。

愛称“マリンエア”こと神戸空港は、コンパクトでこじんまりとした空港だ。

神戸空港が建設されたとき、大阪国際(伊丹)空港や関空と重複することから“非効率的な公共事業”として世間から非難されていた記憶がある。

1階が到着階、2階が出発階に分かれ、3階がレストラン街、その上は屋上で展望デッキになっている。

レストラン街には洋食店、うどん屋、たこ焼き屋、牛すじ屋、上島珈琲店など神戸ならではの飲食店が軒を連ねている。

神戸発祥の上島珈琲株式会社は一般に「UCC」という略称のほうが知られている。

上島珈琲店はUCCが運営する喫茶店舗で東京にも多数出店しており、その数は神戸の店舗数より圧倒的に多い。

また、今回は立ち寄ることがなかったが牛すじ屋「壱成」は、飛行機に乗る用事がなくても来たいと思える店。

旅客機を眺めながら牛すじ煮込み豆腐や豚モッチーズなどを肴にキリンビールの「ハートランド」やバーボンハイボールを味わえるとは、なかなかのもの。

次に関西から帰京する時は伊丹でも関空でもなく神戸空港まで来て、「壱成」で一杯やってから帰ろう…そう心に決めてみる。

展望デッキに上がってエプロンを眺める。
 
成田第1ターミナルに続き本日二港目だ。

飛行機マニアはもとより、若いカップルや小さい子供を連れたファミリーなどが思い思いに時を過ごしている。

展望デッキには鮨屋が出店しており、抜群の眺望を楽しみながら寿司を堪能できそう。

しかし懐具合との兼ね合いもあり、牛すじ屋ほどまで食指は動かない。

そういえば関空では展望デッキに上らなかった。

関空の展望デッキは第1ターミナルにはなく、少し離れた関空展望ホールスカイビューというビルにあり、ここでも無料シャトルバスのお世話になる必要がある。

ちょうどベイ・シャトルのポートターミナルと道路を挟んだ反対側にあるので、ここで出港まで時間を潰しても良かったかもしれない。

ただしスカイビューから直接ポートターミナルへ歩いては行けないので、一旦ターミナルに戻る必要があったりと非常に面倒くさい。

それにしても関空島内の移動は無料シャトルバスがないと話にならないようだ。 
 
神阪編R042

[旅行日:2014年7月2日]

キャッスル&ボールパーク⑥特別編 五

神阪編R051

話を神戸空港に戻すと、ここはスカイマークの拠点空港だけに数多くの機材が駐機している。

成田/関空間でLCCを利用した場合、各空港までのアクセスに時間がかかるのがネック。

その点スカイマークは羽田発着だし、神戸から大阪市内までの時間は関空からのそれと大差なさそう。

運賃差がネックだがLCCも時期により運賃が変動するので、スカイマークのバーゲン価格と大差ない場合も出てくる。

時期と運賃を勘案すればLCCよりスカイマークのほうが低価格で利用できる可能性があるわけだ。

展望デッキを降りてポートライナーの駅へ向かう。

ターミナルビル内は時間帯のせいもあってか人影は疎らだ。

神戸空港は神戸港という優良国際港湾が近い地の利を活かし、旅客便より国際航空貨物の取扱に注力したほうがいいのではなかろうか?

伊丹や関空との“三位一体”ではなく神戸港との“湾空一体”で運営すれば、相乗効果も期待できるだろう。

そもそも空港島には土地が余っているのだから、いくらでも貨物ターミナルを建てられるはず。

さらにポートアイランドとの間に2本目の橋をかけて円滑な物流を促進させ“国際貨物港”としての地位を確立すればよい。

いずれにせよ、こんな優良“箱モノ”物件が巨大な躯体を海上に横たえている姿を見ると、もう少し何とかならないものかと思えてならないのだ。

ポートライナーで神戸空港駅から三宮駅まで18分しかかからない、実は非常に利便性の高い空港である。

しかも先述の通り「ベイ・シャトル&ポートライナーセット券」を利用したので、改めて乗車券を購入する必要はない。

ポートライナーは無人の新交通システムなので乗務員は不在。

この辺り、東京お台場を走る「ゆりかもめ」と共通しているが、だいぶポートライナーのほうが先輩。

スピードが遅いのも「ゆりかもめ」と共通しているが、この点は更に大先輩の東京モノレールとも大差ないように思える。

ポートライナーは特急を新設するなどして、三宮と空港が直結しているメリットを高めて欲しいところだ。

ガラガラのポートライナーは僅かばかりの乗客を乗せて神戸空港駅を出発。

車窓に広がる埋立地の荒涼とした風景をボーッと眺めていると、各駅に停まるたび乗客がドッと乗り込んで来る。

終点の三宮駅へ到着した時に車内はギュウギュウの満員状態と化していた。

三宮駅はポートライナー以外にもJR、阪急、阪神、地下鉄が乗り入れている一大ターミナル。

地上3階のポートライナー駅から地下2階の阪神駅へ。

同じ“三宮”駅とはいえ乗り換えは結構ハードだ。

神阪編R052

[旅行日:2014年7月2日]

キャッスル&ボールパーク⑥特別編 六

神阪編R061

阪神本線から尼崎駅で阪神なんば線に乗り換え、降り立った駅の名は、ドーム前。

そう、ひとつだけあった「どうしても晴らしたい心残り」とは、京セラドーム大阪を訪ねること。

西宮、日生、藤井寺、そして大阪スタジアムと野球場の跡地を巡る旅の終着点である。

京セラドーム大阪こと大阪ドームは平成9(1997)年に開場。

東京ドーム、福岡ドームに次いで日本で3番目に誕生したドーム球場である。

藤井寺球場に本拠地を置いていた近鉄バファローズが開場と同時に移転したのは第五章「大阪・後編」で詳述している。

しかしバファローズも大阪ドームも、その後は数奇な運命を辿る。

もともと大阪ドームは大阪市主体の第三セクターによって建造、運営されていた。

ところが役人主導の商いが上手く行くはずもなく、第三セクターは平成16(2004)年に破綻。

奇しくも同年、オリックス・ブルーウェーブと大阪近鉄バファローズが合併し、新生球団オリックス・バファローズが誕生。

この合併はオリックスが近鉄を吸収したようなもので、近鉄はプロ野球経営から撤退してしまった。

オリックスの歴代記録に阪急ブレーブスは継承しているも近鉄バファローズは含まれていない。

第五章「大阪・後編」にも書いた通り、やはり近鉄にバファローズの歴史だけを展示したギャラリーを作って欲しいところだ。

さらには同18(2006)年にオリックスグループが大阪ドームの施設と第三セクターの株式を買収。

ここに球団とスタジアムが同一会社の経営下に置かれることとなった。

思えば阪急も南海も西宮球場に大阪球場と、自社所有のスタジアムを本拠地にしていた。

近鉄も藤井寺球場は自社所有だったが、日生球場と大阪ドームの“間借り”時代も長かった。

近鉄が球団を手放したのは大阪ドームに支払う高額の使用料が負担だったことも一因としてある。

ただでさえ阪神タイガースに人気が一極集中している関西で、球団と球場の経営が分かれているのは明らかにマイナス。

球団と球場を一体的に運営できれば球団経営が楽なのは間違いない。

親会社の関連企業が管理・運営するため、施設改修やサービスがスムーズに図られ、使用料もグループ内の資金移動で収まるため。 

だが、これが現在できているのは12球団中5チーム(埼玉西武、中日、オリックス、阪神、福岡ソフトバンク)のみ。

あとは東京の2球場を除き、自治体が所有する球場に本拠地を置いている。

東京の2球場を保有しているのは東京都でもなければ読売新聞やヤクルト本社でもない。

東京ドームは株式会社東京ドームが、神宮球場は明治神宮が、その名の通り保有しているわけだ。

神阪編R062

[旅行日:2014年7月2日]

キャッスル&ボールパーク⑥特別編 七

神阪編R071

話を京セラドーム大阪に戻そう。

今日の試合は「オリックス・バファローズvs東北楽天ゴールデンイーグルス」第10回戦。

チケットは予め金券ショップで購入済み。

というのもバファローズには「アドバンスチケット」という非常に優れた入場券が存在する。

これがあれば低廉な料金で優等シートを、当日席が空いていれば指定することができる。

この日は幸い3塁側のS指定席をゲットできた。

中に入ってスタンドからスタンドをグルリと見回してみる。

今季のバファローズは好調で上位に位置しているが、その割に観客動員数は芳しくないように見える。

阪神タイガースの圧倒的な存在感の前に、どうしてもバファローズは影が薄くなりがち。

だが京セラドーム大阪の設備は他のドーム球場、例えば東京ドームや札幌ドーム、ナゴヤドームに劣っているわけではない。

指定席に着くと前の席に小さな送風口が設えてある。

最初見た時は何のために存在するのか不思議だったが、暫くして納得。

ここから吹いてくる風が意外と心地よいのだ。

特に暑さの厳しい日は、いかに屋内とはいえ扇子や団扇でパタパタしたくなるもの。

その点この“背もたれ送風口”、なかなかのグッドアイデアだ。

しかし風が前方から吹き付け続くので、喉が乾く。

そうなるとスタンド下にある売店に足繁く通い、ビールの杯を重ねることとなる。

座席送風システムはビールの売り上げにも若干は貢献しているのかも知れない。

試合は4回表、東北楽天が外国人選手ザック・ラッツのホームランで2点を先制。

平成16(2004)年、オリックス・ブルーウェーブと大阪近鉄バファローズの合併騒動が産み落とした新興球団、それが東北楽天ゴールデンイーグルスだった。

合併オリックスと新興東北楽天が発足する際、選手は「分配ドラフト」によって両チームに振り分けられた。

分配ドラフトとはオリックスと大阪近鉄の全選手をふるいに掛けること。

当然ながら優先権は大阪近鉄を吸収するオリックスにあった。

まずオリックスが全選手の中から25選手を確保し、次に東北楽天が20選手を選定。

それからオリックスと東北楽天が順番に20選手ずつ選び、最後まで残った選手はオリックスが引き取った。

神阪編R072

[旅行日:2014年7月2日]

キャッスル&ボールパーク⑥特別編 八

神阪編R081

ブルーウェーブとバファローズの両チームから優秀な選手を最初に確保できるという、あからさまにオリックスに有利な制度。

だが、チームが発足した平成17(2005)年以降、オリックス・バファローズが優勝したことは1度もない。

一方、新参者ゆえ“残り物”を押し付けられた格好の東北楽天は初年度、プロ野球史上に残る歴史的惨状で最下位に沈没。

その後も暫くは低空飛行を続けるもチーム発足9年目の平成25(2013)年、初めてパ・リーグを制覇。

初出場した日本シリーズでも巨人を4勝3敗で退け、分配ドラフトで優先的に選手を確保したオリックスに先んじ、初めて日本一の座に就く。

2つのチームから優良選手を集めて一つのチームにしたところで必ずしも強くなるわけではなく。

机上の計算が現場での成績に直結するわけでもないことを、オリックスは証明した格好になったわけだ。

そのオリックスは今季好調で、合併以降初の優勝も狙える位置にいる。

西宮球場で見た阪急ブレーブスと、日生&藤井寺球場で見た近鉄バファローズ、それぞれの幻影。

しかし、両チームが統合されたオリックス・バファローズに、阪急も近鉄も残影はどこにもない。

今季オリックスが日本一になることができれば、ここ京セラドーム大阪に新たな“幻影”が浮かび上がることができるのだろうか?

試合は結局、東北楽天の投手陣がオリックスをそのまま零点に抑え、2対0で勝利。

しかも甲子園のヒーローにしてルーキー松井裕樹のプロ入り初勝利というオマケ付きだった。

神阪編R082

[旅行日:2014年7月2日]

キャッスル&ボールパーク⑥特別編 九

神阪編R091

ゲームが終わり、京セラドーム大阪を出て阪神ドーム前駅へ。

しかし時間が多少あったので電車には乗らず、夜の大阪をブラブラ散策することにした。

市立西中学校の前から千代崎方面へ向かい、スーパー玉出の前を通り、茨住吉神社の裏手へ。

すると、いつしか松島新地という「御伽の国」に迷い込んでいた。

ここは戦前「松島遊廓」として隆盛を極めた色街。

戦後も赤線「松島新地」として営業していたが、昭和33(1958)年の売春防止法施行により廃止された。

…はずなのだが、なぜか現在でも軒先に紅灯を掲げている店がチラホラ。

街には古風な遊郭造りの建物が散見され、昔の建物が好きな向きには興味深い一角ではあるのだが。

それに「御伽の国」にしては灯りも少な目で概ね薄暗く、寂し気ではある。

こうした昔ながらの“伝統性産業”は時代遅れで、廃れる傾向にあるのだろうか。

そんな「御伽の国」に深入りすることもなく、スッと通り過ぎた。

神阪編R092

地下鉄で梅田に出、深夜の喧騒を横目に毎日放送とホテル阪急の隙間をスリ抜けてバスターミナルへ。

23時40分発、満員の乗客を乗せた夜行高速バスは梅田茶屋町のターミナルを出発した。

京セラドーム大阪を訪れることができ、ひとまず心残りは晴れたものの。

心のどこかに積み残した荷物が引っかかっているような気がして仕方がない。

オリックス・ブルーウェーブの本拠地だったグリーンスタジアム神戸(現ほっともっとフィールド神戸)にも行ってないし、中日ドラゴンズの本拠地ナゴヤドームとナゴヤ球場も気になる。

東京スカイツリーを発ってから約24時間後の翌朝6時50分、バスは新宿の東京都庁前に到着した。

しかし、これで旅が終わったわけではない。

まだまだ日本中に“プロ野球遺産”は残っているのだ。

次はどこへ行こうか? そんなことを思いながら、通勤ラッシュが始まりかけた新宿の雑踏へ足を向けた。

神阪編R093

[旅行日:2014年7月2日]
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