近鉄鳥羽駅の近辺は観光客でごった返していた。
この日は天皇誕生日の振替休日にしてクリスマス・イヴ。
和洋折衷の極みの如き祝日のせいで混雑しているのかどうかまでは知らない。
ここから近鉄志摩線に乗車し、伊雑宮最寄りの上之郷駅まで普通列車で20分強の鉄旅。
観光客のほとんどは鳥羽駅で下車したのか、車内は閑散としている。
鳥羽駅を出た志摩線は安楽島橋のあたりを過ぎると内陸部に入って行く。
海沿いを走る路線だが車窓には平凡な田園風景だけが続く。
風光明媚な海沿いの景色を一度も見ることのないまま上之郷駅に到着。
家並が建て込んだ繁華な土地かと思いきや、周辺を田畑に囲まれた長閑な駅だ。
駅を出て国道167号線を渡り、列車の進行方向と逆に少し戻ったところから細い路地に入る。
道の両側には歴史を感じる建物が並び、一之宮の鎮座地ならではの雰囲気。
突き当りはT字路で、角の右側には大層古風な和風建築が立ちっている。
看板には鰻料理の割烹旅館「中六」とある。
その反対側、角の左側にもこれまた立派な和風建築物の姿が。
こちらは「神武参剣道場」という。
しかし伊雑宮への参詣で頭が一杯で、どちらもひと眺めしただけで先を急ぐ。