錦糸町駅発午前07時40分、JR横須賀線772F列車。
日曜の朝とあって車内は空いており、快適な列車旅が楽しめそうだ。
両国駅から地下へ潜った772Fは品川駅の手前で地上に顔を出す。
車窓から皐月晴れの陽光が差し込み、暗かった車内が一気にパッと明るくなった。
これから、鎌倉へ行こうと思う。目的は相模国一之宮の巡礼。
相模国に一之宮は二つある。
ひとつは鎌倉の鶴岡八幡宮。
もうひとつは相模西部の寒川神社。
しかし鶴岡八幡宮は元来の意味での“一之宮”ではない。
平安時代の法典、延喜式における相模国一之宮は寒川神社であり、鶴ヶ岡八幡宮の名は存在しない。
それもそのはず、延喜式が成立したのは延長五(927)年。
一方、鶴岡八幡宮が創建されたのは建久二(1191)年。
つまり鎌倉幕府のゴリ推しで一之宮になったようなものだ。
それでも寒川神社は一之宮の座を明け渡さず、その地位を今なおキープしているのだから凄い。
(つづく)
[旅行日:2013年5月19日