境内には摂末社が幾つか鎮座している。
拝殿の向かって右側、一の御柱の奥には稲荷社、若宮社(建御名方神の御子神)、皇大神宮社が並んでいる。
一方の左側、二の御柱の手前には奥から八坂社、賀茂上下社、子安社、そして鹿島社が並んでいる。
鹿島社といえば祭神は建御雷神[たけみかずちのかみ]、つまり建御名方神を出雲から諏訪へと追い詰めた神。
その“仇敵”すら一緒に祀るのは調和を尊ぶ「和の心」の為せる技なのだろうか?
鹿島社の隣に奉納された菰樽が整列している。
看板に「諏訪の銘酒」とあるように諏訪は酒どころだ。
中でも特に有名なのが「諏訪五蔵」(舞姫/麗人/本金/横笛/真澄)。
これら五つの酒蔵が鎬を削ってきた。
とはいえ「諏訪五蔵」は全て上諏訪の蔵元。
地元下諏訪町の蔵元は一番左側の「御湖鶴」、菱友醸造のみである。
菰樽と土俵の左隣に立砂が祀られている。
看板に「神宮遥拝所」とあるように、伊勢神宮との間を行き交うホットラインの入り口なのだろうか。
寝入りの松の方へ歩いていくと階段があり、下った先に宝物殿が立っている。
ここには国の重要文化財「売神祝之印[めがみほうりのいん]」が収められている。
これは平安時代の大同年間(806~810)に平城天皇より御下賜されたと伝わる銅製の大和古印[やまとこいん]。
大和古印とは大宝律令のもと日本で独自に作られた官印のこと。
下社では明治初年まで神印として実際に使われてきたそうだ。
他にも武田信玄や松平忠輝の奉納品といった資料が展示されている。
境内を後にしようとネイリの杉の前を回り込むと冠木門があり、その奥から湯気がモウモウと立ち上がっている。
近づいて見ると手水舍。
ただし、温泉が掛け流しの「御神湯」だった。
湯口は竜神伝説に因んでか竜の形に象られている。
掛け流しの温泉は「長寿湯」と呼ぶそうだ。
[旅行日:2016年12月12日]