諏訪下秋08

ホームに降りると改札口の前で不思議な見た目の仏像「万治の石仏」がお出迎え。

もちろんこれはレプリカで、本物は諏訪大社下社春宮の近くに鎮座している。

駅舎を後にし、駅前から伸びる商店街を歩く。

沿道の店々は古ぼけた表情を見せ、あまり繁盛している活気が感じられない。

鉄道が下諏訪へのアクセス手段としての役割を終えている証なのだろうか?

4~5分ほど歩くと国道142号線、通称「大社通り」という広い道に突き当る。

そこを右折して直進した突き当たりに諏訪大社下社秋宮は鎮座している。

日が傾くにつれて宵闇に溶け込むかのように刻一刻と表情を変えていく下諏訪の町。

その様子を緩やかな坂道を登りながら眺めているうち、下社秋宮の正面に出た。

諏訪下秋09

今宵の宿は境内の裏手にあるホテル「山王閣」。

元は長野県の第三セクターによる国民宿舎として昭和40(1965)年12月、下社秋宮の境内地内に開業。

昭和62(1987)年に下諏訪町の第三セクターへ移管、平成3(2005)年には有限会社化されて民間企業となった。

間口の広い玄関を通ると眼前には広々としたロビー、奥は一面ガラス張りで諏訪湖が一望できる。

何がしかの宴会でもあったのか、ロビーでは正装した人たちが談笑しながら行き交っている。

創業から50年以上も経つが、まだまだ下諏訪町の社交場として現役のようだ。

チェックインの際、フロントマンに訊いてみた。

「来年で営業を終了するって話を耳にしたんですが」

「ええ、そうです。来年3月一杯です」

フロントマンはあっさり肯定した。

「すべて建物を取り壊し、更地にして諏訪大社さんにお返しします」

閑古鳥が鳴いてガラガラだというのならともかく、眼前の結構な賑わいぶりを見ると閉館するのは勿体ない気もする。

予約しておいた部屋は格安の四畳半「訳あり和室」。

なぜ訳ありかというと「アウトバス」、つまり風呂も便所もないため。

室内の造作も古びており、これは閉館も止むなしかな…と一転、気が変わった。

諏訪下秋10

[旅行日:2016年12月11日]