諏訪下秋05

15時30分、松本バスターミナルに到着。

約2時間半のバス旅は鉄道旅行とは一味も二味も違う、山岳ドライブの醍醐味を存分に味わえた。

松本駅へと歩く途中、頭上には青空が広がっている。

鉛色の雲が低く垂れ込めた高山とは、まるで別世界だ。

松本駅構内の跨線橋から0番線ホームに向かって降りると、階段の影に1軒の立ち食い蕎麦屋が佇んでいる。

名は「山野草」。

店内は程よい狭さで、一見どこにでもある駅そば屋に映るが、正体は知る人ぞ知る名店だ。

ここには通常の立ち食い蕎麦と特上の2種類ある。

特上は生麺から茹でるため、予め茹で済の通常バージョンより時間がかかるうえ、しかも高い。

それでも客の様子を見ていると、ほとんどが特上を注文しているようだ。

もりそばでも40円程度の差額しかないので、たとえ待たされても特上のほうがお得感はある。

食券の自動販売機で暫く品定めした末、いかにも信州っぽい食材が羅列してある「特上きのこ山菜そば」に決めた。

蕎麦粉もキノコも山菜も地元信州産かどうか分からないが、そこは気分というもの。

手頃な価格で信州気分を満喫できるのだから野暮は言いっこなしだ。

諏訪下秋06

黒っぽい醬油味のツユに沈む蕎麦の上に大ぶりのキノコと茎太の山菜、薬味のネギが乗っかった暖かい蕎麦。

一口すすると蕎麦独特の風味が口腔に広がり、立ち食い蕎麦にありがちな「蕎麦風味の細饂飩」みたいな麺とは一線を画している。

それでいて妙な高級感を漂わせることもなく、あくまでも駅そば屋としての立場を弁えたかのような店構え。

旅の合間に心の隙間を満たされた思いで跨線橋の階段を登った。

松本駅5番線ホームから15時55分発の小淵沢行1536M列車に乗車する。

下諏訪駅まで30分余り、運賃ジャスト500円の鉄旅。

だが座席はロングシートで、なかなか旅情に乏しい。

しかも日曜日なのに部活終わりの高校生で車内は結構な混雑ぶりで、さほど平日の通勤通学列車と変わらない。

電車は塩尻駅で篠ノ井線から分かれて中央本線に入り、16時29分下諏訪駅に到着した。

諏訪下秋07

[旅行日:2016年12月11日]