水無43-040

大祭の看板や賽銭箱を眺めているうち、いつしか境内から出ていた。

鳥居をくぐった先を左手に向かうと、道標[みちしるべ]が立っている。

    右 位山道
    左 宮峠道

幾度か登場している位山は日本を表裏に分かつ分水嶺。

ここから「水の主」水無大神の坐す聖域と見做され、奥宮が鎮座している。

古来から霊山として名高い位山の山中には巨石群が存在する。

人為的に築かれた遺跡という見方もあるなど、かつては神秘的な霊場だったと考えられている。

これまた幾度も登場している両面宿儺は位山の主。

天舟に乗り雲海を掻き分けて位山に降臨したという古伝説もあるそう。

位山が持っていた宗教的神秘性が「両面宿儺」という伝説上の怪人に具現化されたという見方もあるという。

水無44-041

目の前で左右に別れた道のうち、左の宮峠道を進んでみた。

細い道の境内側には幅の広い側溝のような川が流れている。

木立の向こう側に、うっすらと本殿が見える。

明治時代に飛騨国一之宮と認定された水無神社は、昭和12(1937)年から神祇院の国営工事として莫大な国費を投入し前社殿の大造営を開始した。

昭和14(1939)年に第一期工事が完了するも、昭和20(1945)年の第二次大戦敗戦により造営途中で国家の管理下を離れることに。

神祗院官制の廃止や宗教法人への移行など紆余曲折を経て、ようやく造営工事が完成したのは昭和24年(1949)年のことだった。

[旅行日:2016年12月11日]