水無23-0023

「拗の木」の奥に太い杉の木が立っている。

推定樹齢およそ800年という老杉ながら、樹高45m、枝張り幅20m、目通り6。45mという巨大さ。

昭和38(1963)年9月10日には県の天然記念物に指定されている。

天然記念物としてより、水無神社の謎に包まれた歴史を見続けてきた生き証“木”としての価値のほうが遥かに高い。

もちろん、もしこの老杉と会話できればの話だが。

水無24-024

老杉の影に、まるで隠れているかのように小さな御社が佇んでいる。

良く見ると摂社ではなく神馬舎で、安置されているのは白黒2体の木像。

この像は古くから語り継がれている伝説「稲喰神馬[いなはみしんめ]」に登場する「稲喰[いなはみ]の馬」だ。

江戸時代、毎夜のように田んぼの稲穂を食い荒らしている黒い馬がいた。

追い払うと駆け出したので後を追ったところ、馬場の納屋のあたりで姿が消えてしまった。

納屋を見ると板戸に黒馬が浮彫の形で貼り付いている。

その馬が神社の黒駒に似ていたので、これは神馬のいたずらであると考察。

黒駒の像から眼球をくり抜いたところ、耕作地が荒れることは以来なくなったという。

黒駒の作者は不詳だが、一説によると伝説の名工・左甚五郎の作とも言い伝えられている。

左甚五郎といえば江戸時代に活躍した伝説の名工。

日光東照宮の「眠り猫」に代表されるように、その作品は余りにもリアル。

それ故、ここの黒駒に限らず、木彫りの動物たちが夜な夜な歩き出したという伝説すらあるほど。

ちなみに納屋の戸板は水無神社に奉納され、明治初年に破却されるまで拝殿に掲げられていたという。

ちなみに、この黒駒は極めて素朴に作られているものの、解体するのは至難の業なのだそうだ。

[旅行日:2016年12月11日]