南宮029

南宮大社には寛永19年に再建された際の造営文書と棟札が今も残されている。

造営文書は623冊が現存。

使用された材木の寸法や値段、神輿、神事用の楽器や衣装などの記録が事細かに綴られており、建築史の側面からも非常に貴重な資料になっているという。

棟札とは棟上げや修理の際、工事の由緒や工匠の名などを記して棟木に打ち付ける木札のこと。

棟札は30枚が現存しており、その中には「征夷大将軍家光造営」と書かれた札もあるそう。

これら造営文書と棟札もまた社殿の付属物として国の重要文化財に登録されている。

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構造物を眺めていると廻廊の屋根や庇の下に並ぶ、鋸[のこぎり]や鏝[こて]、鋏[はさみ]などを収めた箱が目に付いた。

主祭神の金山彦命が金属の神であるところから奉納されたのだろう。

金山彦命は神武東征の折に金鵄(金色のトンビ)を飛ばし、熊野から大和への進軍を先導する八咫烏を補佐して勝利をもたらす霊験を発揮。

神武天皇即位の年、その功績を以って畿内と東国を結ぶ要衝の地に祀られた。

考古学上この金鵄は鉄製武器のメタファーではないかと考察されているそうだ。

古代において鉄製武器は軍事力の象徴であり、優秀な鉄製武器を製造できる技術を持つことは国家権力の掌握に直結していた。

もともと鉱山の神だった金山彦命が、刃物や包丁の守護神という新たな役割を担うようになった所以だろう。

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[旅行日:2016年12月10日]