②01杵築駅

中津駅からJR日豊本線に揺られること小一時間ほど。
杵築駅は長閑な山あいの里にあった。

駅舎は武家屋敷を模した和風建築で、構内には観光案内所もあり情報収集には便利。
だが周囲に買物や食事をするところが見当たらない。

駅は杵築市の中心街から相当離れており、駅を観光の起点にするには無理がありそう。

市街地へは歩いて行けなくもなさそうだが、ここは路線バスの利用が無難だろう。

②03杵築BT

大分交通バスに揺られること10分強で杵築バスターミナルに到着した。

県道49号線沿いに位置し、杵築城へも武家屋敷へも徒歩でアクセスできる。

ただしバスターミナル自体には小さな待合室しかなく、情報収集や買い物、食事などは裏手にある「杵築ふるさと産業館」が便利。

ここには観光案内所、土産物店、食事処、喫茶コーナーなどが揃っている。

まだ今夜の宿を確保していなかったので、観光案内所へ立ち寄り手配してもらう。

案内所は産業館の玄関を入ってすぐのところにあった。

「いらっしゃいませ〜」

元気な挨拶で出迎えてくれた。

「今晩、泊まれる場所ってありますか?」
「ホテルと旅館がありますが、どちらにしますか?」
「ホテルで。あの…予約もしてもらっていいですか?」

厚かましくも案内所の方にホテルへ電話してもらう。

「私よりも案内所の方に電話してもらったほうがホテル側も安心するでしょう」
「いや、それは関係ないと思いますけどね…」

若いお兄さんの苦笑いに見送られながら案内所を後にした。

手配してもらった「ホテルいな里」は産業館から目と鼻の先にあった。

とりあえずホテルに荷物を預け、さっそく杵築城へ向かう。

バスターミナルから西へ向かい、城下町ならではの細い道をウネウネ歩くこと10数分。

「杵築城←」と記された看板の立つ入り口に着いた。

その先には「城山公園」と刻まれた石碑。
杵築城址一帯は現在、城山公園として整備されている。

②04城山公園

石碑を過ぎると右に病院、左に旅館。
その奥に立つ鳥居をくぐると正面に朱塗りの橋。

城への入り口が鳥居とは、どこか中津城と似ている。
橋が架かる水面は川ではなく堀で、渡った先の両側に石垣が見える。

ただし、この石垣が往時のものか、それとも最近になって築かれたものか、それは分からない。

正面には石段、右側には緩やかにカーブした上り坂。
坂ではなく石段を登ると近代建築物の裏側に出た。

正面に回り込めば銘板に「杵築市民会館」とある。
近代的な建物ではあるが相当くたびれた感じだ。

市民会館の先に鳥居と手水舎が見える。
入り口の鳥居は、この神社のものだったのか。

②08青筵神社

社号は「青筵[せいえん]神社」。
文字どおり筵[むしろ]にまつわる神社だ。

「七島藺[しちとうい]」という植物は畳表「豊後表」に使われる大分県の特産品。

その普及に貢献した人々を祀るため、昭和11(1936)年に建立された。

戦前の大分県で七島藺の存在価値は神社を建立させるほど大きかったことが伺える。


[旅行日:2016年4月11日]