①00a羽田空港

江戸時代の日本には徳川将軍家を筆頭に三百諸侯の大名がおり、その数だけ御城や御殿や陣屋があり、周辺に城下町が広がっていた。

その御城を中心に構築された“小宇宙”城下町を、公共交通機関(旅客機/鉄道/バス/船舶)だけで訪ね歩く旅に出ようと思う。

皮切りは豊前・豊後の二国(現在の大分県)に割拠する7つの城下町だ。

大分空港行きのJAL661便は午前8時ごろ、ほぼ定刻通り羽田空港を離陸した。

①00bJAL661

最初に目指すは大分県と福岡県の県境にある海沿いの町、中津である。

平成26(2014)年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の舞台の一つとなったことでもおなじみ。

その黒田“如水”官兵衛が開き、後を受けた細川“三斎”忠興が築き、奥平家が150年にわたって治めた町だ。

また、中津は蘭学と医学の町でもあり、市内には医学の史料館が2つも存在する。

日本の近代医学が花開く過程を、実際に存在した資料や道具を通じて知見できる。

そして中津といえば(?)福澤諭吉。

彼自身は中津に思い入れがあったどうかは知らないが、中津側は熱烈ラブコール!

少年時代を過ごした旧居が保存され、隣には業績を俯瞰できる記念館が立っている。

さらに中津の名物料理といえば鱧[はも]料理と唐揚げ。

戦国ロマンと維新の息吹に触れ、ご当地グルメを味わう…そんな旅になればいいのだが。

①01大分空港


午前9時半過ぎ、JAL661便は大分空港へ到着した。

初めての大分空港、思っていたよりこじんまりしている。

空港バスの出発まで時間があったので、ビル内をウロウロしてみた。

1階が到着ロビー、2階の出発ロビーではカフェテリアが営業中。

3階のレストラン街は4軒あるうち2軒のみ営業している。

店頭のガラスケースに並べられた地元の特産品メニューが旨そうだ。

その先の扉を出ると展望デッキ。

今しがたまで搭乗していた旅客機を暫し眺める。

天気は薄曇り。だが雨に降られる心配はなさそう。

双六の降り出しにしてはマァマァのコンディションだ。

①02空港バス

10時20分、中津行きの空港バスに乗車する。

運行しているのは大分交通の子会社、大交北部バス。

乗客は他に数人しかおらず、採算は厳しそうに見える。

分社化も頷ける話だ。

かつてホバークラフトがアクセス交通として大分空港と大分市や別府市を結んでいた。

一度乗りたいと思っていたのだが、残念ながら2009年に廃止されてしまった。

しかしバスですらこれほど利用者が少ないのだ。

さらにコストの嵩むホバークラフト、廃止もやむを得なかったのだろう。

空港バスは豊後高田、宇佐神宮を経由していく。

宇佐神宮、さすが八幡宮の総本社だけあって立派な出で立ち。

車窓に広がる農地は稲田ではなく、一面の麦畑。

青々とした穂が実をつけている。

さすが麦焼酎の本場だけあるなと感心。

やがてバスは中津市内へ入っていく。

郊外のロードサイドは、どこも似たような風景が広がる。

牛丼家、ハンバーガーショップ、家電量販店、ベビー洋品店…。

全国チェーン店が幅を利かせ、利益を中央へと簒奪していく。

そんな風景に辟易しているうち、正午過ぎに中津駅へ到着した。

①03中津駅

中津駅は思っていたほど大きくもなく、小さくもない。

高架ホームを降りて改札を出ると、名店街がありお土産品などを販売している。

そこに映画のポスターが貼ってあった。

「サブイボマスク」。

寂れた地方都市に元気を取り戻すため、地元の熱血青年団員が孤軍奮闘。

しかし、その活動がSNSで拡散し、思いもかけない大混乱に巻き込まれていくという話。

主演は元FUNKY MONKEY BABYSのファンキー加藤。

共演は小池徹平、平愛梨、温水洋一、斉木しげる、いとうあさこ、泉谷しげる、大和田伸也ほか。

この映画、実は中津市と隣の杵築市でロケが行われた。

なので、ポスターが掲げられていたという次第である。

①04サブイボマスク

[旅行日:2016年4月10日]