立砂に近寄って見る。
高さは子供の身長ぐらい。
大きさも形も見事なほど左右対称だ。
ジーッと見ているうち各々の頂に松葉が刺してあるのに気付いた。
しかも松葉は左右で微妙に違う。
向かって左側は3葉、右側は2葉。
これは奇数と偶数が融合することで神の出現を願う、陰陽道の考えに基づくもの。
ただ松葉といえば普通は2葉で、3葉とは珍しい。
しかし上賀茂神社の境内に3葉の松葉をつける木があるのだそうだ。
この松葉を立てるしきたりは、賀茂別雷大神が神山に降臨した故事に因んでいる。
現在の社殿の基が造営されたのは天武天皇御代の西暦678年。
神山に登って祭祀を行っていた人々は大神を里に迎えるため、神山から松の木を引き下ろして里に立てた。
その場所こそ上賀茂神社の鎮座地という。
松の木が立てられた場所に砂を大きく盛り、その頂上に松葉を刺すようになったのだそうだ。
そういえば常陸国一之宮鹿島神宮でも、東日本大震災で倒壊した鳥居の跡に立砂が盛られていたのを思い出す。
これもまた上賀茂神社の立砂に由来するのだろうか。
[旅行日:2014年3月20日]