中門をくぐって中に入ると、東西に伸びる幣殿が正面に立ちはだかる。
しかも幣殿手前の狭い敷地に小さな御社がチマチマと並び、印象は非常に窮屈だ。
それら小社は中門を入って正面に2社、右側に2社、左側に3社の計7つが鎮座。
これら7社は総称して「言社[ことしゃ]」と呼ばれている。
昔から干支の守護神として有名で、各御社ごとの御神徳が干支で表現されている。
祭神は全て「大國さん」こと大国主命なのだが、個々の御社によって神号がそれぞれ異なる。
幣殿の真向かいに2社並列で鎮座するのが「一言社」。
東側が大国魂命[おおくにたまのみこと]で、干支は巳[へび]年と未[ひつじ]年。
隣の西側は顕國魂命[うつしくにたまのみこと]で、干支は午[うま]年。
幣殿から見て左側に2社並列で鎮座するのは「二言社」。
幣殿に近い北側は大物主命で、干支は丑[うし]年と亥[いのしし]年。
隣の南側は大国主命で、干支は子[ねずみ]年。
幣殿から見て右側に3社並列で鎮座するのは「三言社」。
幣殿に近い北側は志固男命[しこおのみこと]で、干支は卯[うさぎ]年と酉[とり]年。
隣の真ん中は大己貴命[おおなむちのみころ]で、干支は寅[とら]年と戌[いぬ]年。
最も遠い南側は八千矛命[やちほこのみこと]で、干支は辰[たつ]年と申[さる]年。
それにしても天津神「賀茂建角身命」を7柱もの国津神「大国主命」が包囲する、この構図。
大国主命と対峙する賀茂建角身命という「国譲り神話」を表現しているのか?
それとも賀茂建角身命に付き従う従順な大国主命という図式なのだろうか?
自分の干支が祀られている三言社に拝礼し、これらの疑問を心の中で反芻してみる。
無論、大國さまから正答が返ってくるわけもないのだが。
[旅行日:2014年3月20日]