せんば自由軒は自店も「自由軒」の系譜を受け継いでいると主張しているが。
難波の本家「自由軒」は具体的な店の名前こそ出さないものの。
せんば自由軒は無関係と頑なに主張している。
このあたり関東の人間にとって、なかなか区別するのは難しい。
どこか「餃子の王将」と「大阪王将」の併存を思い起こさせる。
それにしても「難波」と「船場」の争いが実在したとは!
これじゃまるで「船場の仇を難波で取る」ではないか!
しかし、せんば自由軒には立ち寄らず、もっと船場っぽい食事を探求。
純喫茶、中華、蕎麦…いろいろ目移りしているうち、一軒の店が目に止まった。
「せんばかつら亭」
入口前のテーブル一杯にサンプルが並べられ、そのカラフルさに目を奪われる。
値段も総じて600円前後からとリーズナブル。
高くて量が少ないランチでは舌の肥えた船場のサラリーマンからソッポを向かれるのだろう。
サンプルの中で視線は自ずと「船場汁[せんばじる]定食」に吸い寄せられた。
船場汁はその名の通り、ここ船場で生まれた謂わば“郷土料理”。
塩鯖の身や頭、中骨などと、輪切りの大根を鍋で一緒に煮た澄まし汁だ。
元は忙しい問屋街で生まれた従業員の賄い食だったという。
材料に単価の安い塩漬を用い、アラまで使うのでムダがなく、食べるのに時間もかからない。
鯖の塩味で調味するので余計な調味料も不要。
この実質本位ぶりには「さすが大阪商人!」と感心させられる。
現在も作り方は概ね同じだが、大根は銀杏切りにし、仕上げに少量の薄口醤油を加えるそうだ。
[旅行日:2014年3月19日]