rj大神013

石段を登り切ると“三ノ鳥居”が出迎えてくれた。

正確には鳥居ではなく「注連縄柱」といって、ニ本の柱の間に注連縄を渡したもの。

2本の縄が絡み合って1本の太い縄になる注連縄の意匠は、蛇が交尾する姿に由来するという説がある。

土中に棲む蛇は農業の神の使い、水中を泳ぐ蛇は治水の神の使いと、古来から神聖な生物として崇められてきた。

日本書紀の「崇神天皇」章にも、大物主大神は蛇の姿になって登場する。

先述の倭迹迹日百襲姫命は大神の后となるが、なぜか大神は昼に姿を見せず夜しか通って来ない。

不思議に思った姫が理由を尋ねてみたところ、大神から摩訶不思議な返答が。

「明日はお前の櫛箱の中に入っているから、私の姿に驚かないでくれ」

姫は夜明けを待って櫛箱を開けてみると、中にいたのは美しい小蛇。

驚いた姫が声を上げて泣くと、恥じ入った大神は人の姿に戻り、こう語った。

「これぐらいのことに我慢できず、お前は私に恥ずかしい姿を見せた。私が帰れば、お前も恥を見ることだろう」

そう言って大神は空を飛び、三輪山へ帰ってしまった。

残された姫は激しく後悔し、動転したはずみで急に屈んだところ、箸が陰部に突き刺さりそのまま絶命してしまった。

その亡骸を大市に葬ったので、姫の墓は「大市墓」という。

さらに、その墓を世の人々は「箸の墓」と呼ぶようになった。

その呼び名は「箸墓古墳」として現世にまで伝わっているわけだ。
 
[旅行日:2014年3月18日]