伊雑宮の一の鳥居の前に来た。
が、境内には入らず、まずは南に位置する御料田へ向かう。
前回の参詣で御料田をスルーしたことが、ずっと心に引っかかっていた。
このため今回の参詣は正宮より御料田のほうが目的と言っていいぐらいの気持ちでいる。
境内の南にある参拝者駐車場を横切り御神田広場へ。
以前ここにあった御料田を西へ移し、広場として整備したものだ。
広場といっても真ん中を御料田へ一直線に伸びる参道が通っているぐらいで、あとは何もない。
いや、広場の南端に「磯部の御神田(おみた)」についての解説板と、国重要無形民族文化財指定の記念碑が立っている。
伊雑宮の御田植式(おたうえしき)「磯部の御神田」は日本三大御田植祭のひとつで、毎年6月24日に御料田で行われる。
ちなみに他の二つは下総一宮香取神宮、摂津一宮住吉大社の御田植祭との由。
祭りの始まりは平安時代末期、ここで稲作が始まった「白真名鶴」の伝説と結びつき、鎮座地の磯部九郷で現在に至るまで伝承されてきたものという。
その御料田へ歩を向ける。手前には黒木の神明鳥居、奥には忌柱が立っている。
黒木鳥居とは丸太の皮を削らず、自然木のまま用いた最もシンプルな形式の鳥居。
社殿のない場所で神事が行われる際に立てられるという、非常に珍しい鳥居だ。