海沿いの入口から辿ってきた細い道を遡り、再び伊射波神社の参道へ戻る。
この時点で既に午前10時。
安楽島のバス停に到着するのは何時ごろになるのか見当もつかない。
参道を先へ踏み出すと、ここに鳥居と常夜灯が立っている。
鳥居は先ほどと同じ神明鳥居だ。
先に伸びる参道は急坂で、しかも石畳あり未舗装道ありと足場は良くない。
ただ、海岸線の岩場よりはマシだが。
坂を降り切ったところで突然視界が開けた。
紺碧の伊勢湾が眼前に広がり、その美しさにフッと息を呑む。
ここにも鳥居と、社号標が立っていた。
参道のところにあったのが二の鳥居で、拝殿前のが三の鳥居、ここが一の鳥居だろう。
二、三の鳥居と同じ形の明神鳥居なのだが、木製ではなく石造りなのが異なる。
人気のない山中にひっそりと佇む華美な装飾のないシンプルな鳥居からは、現世での御利益ではない、もっと原始的な“信仰”の念が伝わってくる。
社号標には「式内 伊射波神社」と刻まれている。
志摩国には一之宮が二つある。
ひとつは、ここ伊射波神社。
もうひとつは、伊雑宮(いざわのみや)。