季節は冬なので幸い虫がいないのは助かる。
それに蛇だって冬眠中だろう。
来年の干支なので個人的には出てきてもらったほうが逆に嬉しいのだが。
それにしても道無き道を登る作業は想像以上に厳しいものだった。
蔓がまとわりつき、アザミにチクチク刺され、足場も悪く、幾度も立ち往生させられる。
参拝すること自体ではなく、こうした苦難を乗り越えることこそが巡礼の目的だと思えば、こうして山を登る甲斐があるというもの。
苦吟しながら漸進するうち、木々の間に神社の社殿らしき建物が垣間見える。
あと少し、あと少し…と消耗した体力を振り絞って斜面を這い上がると、神社の参道らしき広い道に出た。
こちらが安楽島から来る“表参道”か。
緩やかな勾配を登っていくと、伊射波神社の社殿が姿を現した。
時計の針は午前9時半を指している。
ウィスタリアンライフクラブから1時間以上かかったが、ようやくたどり着いた。
取り敢えず一休みした後、鳥居の前に立ち、拝殿を正面から眺めてみる。
鳥居の笠木は五角形、貫は貫通しておらず、紛うことなき神明(伊勢)鳥居。
やはり伊射波神社も伊勢神宮と深く関わっていることの証なのか。
鳥居をくぐって拝殿の中に入る。
木造で余計な装飾のない質素な建物だ。
[旅行日:2012年12月24日]