このため大社側の要請を優先し、先に譲与手続きを済ませたのだという。
裁判では「日本のシンボルを私有地化するのは国民感情に反する」との議論もあったそうだが。
国か浅間大社か土地の所有権を決めるより、静岡県と山梨県の県境を策定する作業のほうが余程の難題と見える。
二ノ鳥居と富士山に背を向け、浅間大社に別れを告げる。
参道入口と道を挟んだ南側に、こじんまりとした門前町が佇んでいる。
その名は「お宮横丁」。
猫の額ほどのスペースに富士宮の名産品を扱う店舗が9軒ほど庇を連ねている。
一番手前にはB級グルメの王「富士宮やきそば」の総本山、富士宮やきそば学会のアンテナショップ。
奥へ伸びる中央の細い参道を挟んで団子やぜんざい、富士宮溶岩焼き、静岡おでん、ジェラートなどの店が並ぶ。
その中に「お~それ宮」という、特産のニジマスを使用したハンバーガーや漬け丼を出す店がある。
富士宮市のニジマス年間生産量は約1500トンと全国トップ。
ちなみに全国合計の生産量は約1万1000トンなので、その1割以上が富士宮産ということになる。