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思えば海岸沿いに立っていた、洲崎神社の浜鳥居も真っ白な神明鳥居だった。

往時は安房神社が「男神」、洲崎神社が「女神」で、双方合わせて「安房國一之宮」ではなかったのだろうか?

それを裏付ける物証など無論どこにも存在しない。

ただ、両社を巡拝した結果、そんな雑念が脳裏に浮かんだだけの話である。

拝殿の裏手に回り、本殿を見る。

特に玉垣などで囲われておらず、近接して拝見できるのが有難い。

本殿は明治14(1881)年の竣工。

建築様式は神明造りで、屋根は薄く剥いだ檜の皮を重ね合わせて作られた「檜皮葺き」。

平成21(2009)年には「平成大修造」が実施されて面目を一新。

一見すれば新造されたのかと勘違いしてしまいそうなほど真新しい。

その右隣りには古めかしい建物が立ち、廊下でつながっている。

神様に奉る食事を作る神饌所で、明治41(1908)年の建造という。

現在は毎年1月14日に行われる「置炭神事」(おきずみしんじ)の祭場として主に使用されている。

置炭神事は同日夕刻、門松に使われた松材を薪に用い、浄火を焚いて粥を煮る。

そして燃え残った松材から12本取り出し、その焼き色によって一年間の天候を占うという神事だ。

[旅行日:2013年5月21日]