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海岸から程近くに聳立している一の鳥居「浜の大鳥居」。

花崗岩製で高さは8.5メートル、柱の太さは92センチ。

最初の鳥居は源頼朝の時代、治承四(1180)年十二月に建造が始まり、寿永元(1182)年に完成した。

現存の鳥居は寛文八(1668)年に徳川四代将軍家綱が寄進したもの。

二代将軍秀忠の御台崇源院が世継の家光を懐妊した時、鶴岡八幡宮に安産を祈願し、無事に出産。

その霊験から鶴岡八幡宮への崇敬を篤くした崇源院に、八幡大神が夢の中で「備前国犬島の奇石で大鳥居を建立し給ふべし」というお告げを下した。

崇源院は家光に必ずお告げを実行するよう頼んで他界。

それが実現されたのは次の代である家綱の時代だったという話。

ちなみに一の鳥居が石造りになったのは、この時だとか。

その後は長らく国内で石鳥居が建立される際のモデルとなり、明治三十七(1904)年八月には国宝に指定される。

大鳥居の真下へ行き、空を見上げる。

石造りの巨大な明神鳥居で、支柱には折れた跡が残る。

手前の銘板によると、大正十二(1923)年に関東大震災で柱下部を残し崩落。

崩落前の姿を忠実に復元するため、新しい建築技術ではなく古法に則って再建に着手。

崩落した旧材を出来る限り使い、足りない部分は犬島まで石材を調達しに行ったそうだ。

両側の柱の上部や笠木の中央部など、ヒビの入っている部分が該当するのだろう。

かくして昭和十一(1936)年八月に浜の大鳥居は再興なり、美しき旧観を取り戻すに至る。

安易に新たな鳥居を建立することなく、壊れた鳥居を復元して後世に遺そうとする昭和人の意気に感服する。


(つづく)

[旅行日:2013年5月19日]