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拝殿の前に戻り、楼門と総門をくぐって再び表参道前へ。

総門を出ると右手にある古風な木造建築が目に入った。

道場「神徳館」。

“武神”香取神宮の“魂”とも言うべき建物。

門は閉ざされ中の様子は伺えないが、木造の門塀からは長きにわたって風雪に耐えてきた様子が伺える。

時代劇を見ていると、道場の床の間には必ずといっていいほど「香取大明神」の掛け軸が吊るされている。

「布都御魂剣」の神霊を祀る香取神宮が武道場の象徴として崇拝されるのは当然の理。

また、ここ香取神宮は飯篠長威斎家直(いいざさ ちょういさい いえなお)が創始した現存最古の武術流儀「天真正伝 香取神道流(てんしんしょうでん かとりしんとうりゅう)」が生まれたところ。

600年にわたって伝承されてきた香取神道流は念流、陰流と並ぶ兵法三大源流のひとつ神道流の元祖。

香取神宮が武道の象徴として崇拝されているのは布都御魂剣だけでなく、香取神道流の存在も大きいのだ。

それまで決まった「型」のなかった武術の世界に、長威斎は太刀、小太刀、長刀、居合抜刀、二刀流、棒術、薙刀、槍、鎖鎌、柔術、築城術など百般にも及ぶ武道の原型を作り上げた。

それらの「型」は昭和35(1960)年に千葉県無形文化財に指定され、その大半は「蜻蛉(とんぼ)伝書」と呼ばれる極意書とともに、長威斎の子孫である宗家二十代目の飯篠快貞氏によって確実に継承されている。

[旅行日:2012年12月18日]