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鹿島神宮駅を発ったJR成田線536M列車は、潮来の水郷地帯を突っ切って行く。

長大な利根川の鉄橋を渡り、常陸(ひたち)国から下総(しもうさ)国へ。

千葉県の旧国名は北から南へ下総国、上総(かずさ)国、安房国の順で並んでいる。

なので地図を見ると下総国が“上”に、上総国が“下”に、それぞれ位置する形。

これではアベコベではないか?
実はこの「上下」、「南北」の意味ではない。

五畿七道が制定された古代、都から位置的に近いほうに「上」、遠い方に「下」と名付けられた。

例えば京都から近い群馬県は「上野(こうずけ)国」、遠い栃木県は「下野(しもつけ)国」といった具合。

当時、畿内から房総半島へは海路を船で渡っており、上陸する南側に位置するほうが都に近いため「上総国」になったという次第。

536Mは14時53分、香取駅に定刻通り到着した。

鹿島神宮駅から香取駅まで実は4駅しか離れておらず、乗車時間にして20分弱といったところ。

香取駅は小さな無人駅で、朱色を基調とした外観の意匠は香取神宮をモチーフにしているのが一目瞭然。

かといって、ここが香取市の中央駅かといえばそうではなく、香取神宮まで路線バスの便もなければ駅前でタクシーが待っているわけでもない。

香取神宮の公式サイトでも「香取駅からはタクシー・バスなど出ておりませんので、佐原駅をご利用いただいた方が便利です」と、ご丁寧に注意を喚起しているほどだ。

こじんまりとした駅舎を通り抜け、駅前に出る。

特にこれといって何があるでもなく、ごく普通の住宅街といった印象。

[旅行日:2012年12月18日]