停留所でバスから降りると目の前に広がる鄙びた風景にタイムスリップしたような錯覚を憶えた。
潮来で高速道路を下りてからこのかた、高層ホテルや超大型店舗などロードサイドならではの風景を見てきた。
その目の前に突然現れた古ぼけた商店や飲食店が立ち並ぶ街角は、まさに過去への時間旅行そのもの。
もともと神宮の門前町として栄えてきた町域が旧市街で、ここまでバスで通り過ぎてきたロードサイドが新市街。
モータライゼーション全盛の昨今、鉄道駅を中心とした旧市街は寂れ、自動車での移動を前提とした新市街へ繁華は移行…こうした傾向は全国共通だ。
空き店舗や空き地が居並ぶ門前の町域を歩く。
営業しているのも個人商店ばかりで、巨大な建造物が林立していたロードサイドとは規模の点で比べるべくもない。
だが、人には人の丈に見合ったサイズがある。
こうして歩きながら見て回るには最適な規模。
こうした昔ながらの商店街には、目的が“消費”しかないショッピングモールとは違う、もっと人間性に根差した“何か”を感じる。
それは商店街が長年ここで培ってきた「人対人」の商いに対する想いが、一種の“念”に姿を変えて漂っているからかも知れない。
[旅行日:2012年12月18日]