RJ洲崎13

観音堂から右手に回ると先出の子育て地蔵があり、その裏手には剥き出しの岩肌に石段が築かれている。

上へ登っていくと、そこには広目の岩窟が穿たれ、奥の真ん中に役行者の石像が祀られていた。

中には灯りもなく、日も傾いた逢魔が時に出くわすシチュエーションとしては、このうえなく刺激的である。

役行者、又の名を役小角。

言うまでもなく修験道の開祖であり、それこそ日本中に“聖蹟”が散りばめられている。

洲崎神社の社伝によると、養老元(717)年に発生した大地変で境内の鐘ヶ池が埋没。

鐘を守っていた大蛇が災いをおこしたとき、祈祷して退治したのが役行者とのこと。

海上歩行や空中歩行などの神通力を有する役行者は、古くから足の守護神として崇められてきた。

このため岩屋には多くの履物が奉納されているのだが、このシチュエーションで見る履物の群れは余りにも異様に過ぎる。

境内には他にも様々な石仏や石碑が立ち並んでおり、洲崎神社よりも興味深い空間ではあった。

とはいえ黄昏時とあって宵闇が次第に濃度を増し、境内の雰囲気は既に黄泉の様相を呈している。

それに保育園の周りを無意味にウロつき不審者と間違われるのも嫌だったので、バスが来るまで多少の間はあったが、そそくさと養老寺を後にした。


(旅行日:2012年12月17日)