RJ洲崎03

「まったく、俺みたいな奴に注意ひとつできる大人が一人もいないんだから、ロクな世の中にならないわけだ」

よく言うゼ…とは思うが、タコ入道は悪態をついてはいるのものの、言ってる内容は他愛もない子供じみた戯言。

周囲の乗客は不愉快だろうが、黙って聞いてる分にはユーモアが絶望的に欠落した笑い話に過ぎないのだが。

すると、隣に立っていた高校生ぐらいの男の子がスッと離れ、タコ入道の隣席にサッと座った。

「おじさん、どこまで行くの?」
「俺か!? 八幡宿」

不意を突かれたせいか、タコ入道は意外なほど素直に返答した。

「坊主、高校生か?」
「そう、木更津から千葉まで通ってるんだ」
「千葉までじゃ結構な距離あるなぁ、大変だろ」
「そうでもないよ、慣れてしまえばね」
「偉いなお前。俺みたいな大人になるんじゃねえぞ」

先ほどまでの悪態はどこへやら。

どうやらタコ入道、単に話し相手が欲しかっただけらしい。

それを看破してタコ入道の懐にスッと飛び込んで行った高校生の才覚と度胸に感服した。

八幡宿に着くとタコ入道はスンナリ下車して行った。

「おい、さっきオレを見てコソコソ言ってた2人組! お前ら覚えてろよ!」

そう言い残すのを忘れずに。

12時51分、君津に着くと車内はガラガラになった

上総湊の辺りで車窓に内房の海が開けてくる。

海水浴場が近くペンションや別荘が立ち並んでいるが、冬なので人影は少ない。

保田に着くと列車行き違いのため9分停車。

車内の乗客は高校生だらけである。

(旅行日:2012年12月17日)