路面電車なので改札口は当然ながら存在しないのだが。
無いのは改札だけではなく利用者の姿も見当たらない。
そもそもホームの照明が落とされて周囲は真っ暗闇だ。
ホームの入り口に、人の進入を阻むかのように立つ時刻表に張り紙がしてある。
「上記時刻以外 住吉鳥居前から ご乗車願います」
見れば電車が発着するのは朝7時台と8時台しかない。
しかも8時台は3本、7時台は平日2本で土休日1本。
これでは駅としての機能を殆ど果たしてないではないか!?
住吉公園駅は100年以上も前の大正2(1913)年に開業した。
最盛期だった昭和30年代には最短1分間隔で列車が発着。
当時は1日に約200本もの電車が運行されていたそうだ。
それが今では日に4~5本という体たらくである。
いつ廃止されても不思議ではなさそう。
だが、実は無くならない。
毎年正月三が日は住吉大社に参拝客を送迎する臨時列車のために大活躍しているのだ。
年に一度、スポットライトを浴びる古老の駅…なかなかロマンティックな話ではないか。
できれば駅全体を普段はチンチン電車の博物館みたいに活用して欲しい。
そして正月だけは参拝列車のため“生きている”駅として命を吹き込む。
これぞ住吉大社のために存在する駅らしい生き方のような気がする。
そんなことを考えながら、住吉大社駅の高架ホームへ続く階段を登っていった。
[旅行日:2014年3月19日]