「自由都市時代の遺構では、掘割が今でも残ってます」
堺は西側が海に面し、東南北が堀で囲まれた環濠都市。
この堀は土居川(どいがわ)と呼ばれているそうだ。
「穴場スポットは市役所21階にある無料展望ロビーですね」
夜9時まで開いており、工業地帯の夜景がキレイとのこと。
こうした情報は地元に足を運ばないと、なかなか耳に入らないものだ。
ガイドさんに礼を述べ、職員の皆さんに見送られつつ観光案内所を後にする。
大仙公園を突っ切り、履中天皇陵古墳へ。
大仙公園は「日本の歴史公園100選」のひとつ。
公園内には堺市博物館、日本庭園、堺市茶室(伸庵/黄梅庵)などがある。
茶室といっても市営なので気軽に抹茶を楽しめる施設とのこと。
しかし日も暮れかけて全て閉館しており、いずれにも寄らずに通り抜ける。
大仙公園を出ると履中天皇陵の後円墳部分の先端が姿を見せた。
履中陵は前方部を南に向けた巨大な前方後円墳。
円の先端から右へ曲がり、外周をなぞるように南側へと進む。
すると陵墓と道を挟んだ向かい側に大層立派な和風建築の民家を発見。
玄関に大きな表札が掲げられている。
どんな人が住んでいるのか興味を惹かれて見たところ、表札ではなく「シマノ記念館」という看板。
ここはシマノ創業者、島野庄三郎の生家を記念館として保存している。
しかし記念館といっても博物館ではなく、原則として非公開。
あくまでも文字通り“記念”館として保存してあるだけの様子だ。
その代わりというか、大仙公園の北西部に「自転車博物館サイクルセンター」が隣接している。
堺の自転車産業の歴史を展示した日本唯一の自転車博物館である。
堺は戦国時代から鉄砲の一大生産地。
そこで蓄積された鍛冶の技術が後に自転車製造に生かされることとなった。
シマノ記念館の左隣りから西へ一直線に延びる道を進めばシマノの本社に至る。
シマノは自転車部品や釣具のリールなどを製造している精密機械会社。
特に自転車のパーツメーカーとしては世界最大の企業である。
「ツール・ド・フランス」など耐久レースの中継を見ていると、ほとんどの競技用自転車に「SHIMANO」のロゴが垣間見える。
[旅行日:2014年3月18日]